本日のふぅ〜琥珀の女王の珈琲手帖〜

コーヒーの色は琥珀色。天井のスピーカーから降り注ぐ美しい音楽や、偶然にも時を同じくする人々の活気、趣ある内装や器の味わいをいつくしむ。カフェが醸し出す妙味に身を委ねながら、今日も珠玉の一杯をいただきます。

新宿地下街迷宮 隠れ家カフェ

籠りたい時がある。そんな時に隠れるようにして入りたくなるカフェがある。

 

新宿の京王モール内の「亜麻亜亭」である。

 

深い茶色の扉と曇りガラスのエントランスを見ると、少し重々しさがあって良い。

 

太陽が燦々とまぶしい日や春風が気持ちの良い日などは足が遠のくけれど、雨の日のように陰湿な何かがある時にはこの扉を開きたくなる。

 

一人で籠るのにも合っているが、友人と話し込みたい時にもここは適している。

 

一つ一つの話題を吟味し、共に考え、豊かに展開させて、腰を据えて話し込める。

 

どちらにせよ、そういうじっくりとした取り組みがここではピッタリなのだ。

 

そのお供には、数あるメニューの中でも「コクブレンド」が一番かも知れない。ガツンと胃袋に命中し、直ちに集中力が蘇る。

 

読書にも、文筆にも、対話にも!

そして、新宿の地下深くに隠れて過ごしたいあなたにも!

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東郷元帥と午後のひとときを

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三月の終わり頃になったら必ず行きたいカフェがある。


美しい木々の間から桜吹雪が舞う姿を一望のもとに見渡せる「Togo Cafe」である。


こんなにゆったりとコーヒーをいただきながらお花見ができるカフェが他にあるのだろうか、と思ってしまうほどだ。


天気の良い日には、記念撮影中の和装姿の花嫁さんを見かけることも。黒地に金糸や銀糸の入った華やかな着物が淡い桜色に映えて、こちらまで晴れやかな気持ちになる。それを見ながら一服するのもまた、大変に風情がある。


神社の敷地内にあるからなのか、何とも言えず清々しい空気がカフェにもその一帯にも流れている。ふぅ〜っと抜ける息が神社の聖域のどこかに消えていくかのよう。


何か行き詰まった時や勇気をもらいたい時にも、ここを訪れたい。もちろん、心にZ旗が掲げられた時にも!


「東郷さん、いらっしゃいますか?」

東郷元帥に心を打ち明けるように思いを馳せ、午後のひとときを過ごしてみよう。

神様のようなコーヒー

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どうしようもなく心もとない時に、涙がでるほどありがたいコーヒーがある。

先日、猿田彦珈琲 恵比寿本店を訪れた。

一人静かにカウンター席に座って、コーヒーを待つ。温かみのある木製のテーブルの上に手を揃えて、時々触りながら。

カウンターはとても小さい。そしてガラス窓がある。そのガラス窓の向こうにあるマンションの植木や、ガラス窓の上に掲げられた黒板をただ眺めた。

コーヒーが丁寧に手渡された。

その仕草はどこか戦前の日本人のそれを想わせる。「いただきます。」つい、一礼したくなる。

ふぅ〜っとため息が出る。
コーヒーを飲んでは息を吐き、幾度となくそれを繰り返した。ただそれだけで、自分の中の固いものや黒いものや何かがスルスルと抜けていくかのよう。

なんなんだろう、この力は!
どんどん体が楽になっていくのを感じる。これこそ、ふぅの真髄である。

まさに一杯入魂。

一杯のコーヒーに込められた珠玉のエネルギー。全身全霊で淹れられたのが分かる。

店内は適度な湿度と温度で、厳冬の外界を忘れさせてくれる。更に、店員さんたちのきめ細やかな心遣いが包みこむようであった。

「こんなに夜遅くまで、頑張り屋さんですね。疲れた時はいつでも来て下さい。」
そう言ってくれた。

頑張れてないのに……。胸がキュっとなる。温かい言葉に、ちょっと涙が出てしまいそうになった。

帰宅すると、妹に言われた。
「前髪切った?なんか、可愛くなってる。」
前髪は切ってはいない。

二階に行って、鏡を見た。
なんだか、人相が良くなっていた。